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その3

外貨預金の広告には要注意!


例年どおり、ボーナスシーズンということで、各金融機関は外貨預金などのキャンペーンを行っている。広告を見ると、10%とか12%などといった高金利を前面に押し出したものもある。

本当にそれだけの利息がもらえるのであれば非常に有利だが、世界的な金利の低下傾向が顕著になるなか、そんなにおいしい話は世の中には存在しない。広告の大きな字だけを見て飛びつくのは要注意である。

まず金融商品の金利表示の仕方として、年率で表記するのが一般的なルールとなっている。これが注意点その1。そして、注意点その2として、満期までの期間を確認することが大切だ。

たとえば、ある金融機関の広告を見ると、米ドル建て外貨定期預金の金利が年10%となっていて、満期は1ヵ月とのこと。
この場合、満期が1年であれば、10%の利息がつくということを意味しているが、実際の満期は1ヵ月なので、増える利息は10%の12分の1、つまり、0.83%程度である。ここから20%の税金が差し引かれる。

さらに、外貨預金などの場合、円を外貨に替えたり、外貨から円に戻したりするときに為替手数料がかかる。一般的な米ドル預金の場合、片道1円、往復2円の手数料が必要である。
もし、1ドル=118円という為替レートが1ヵ月間変わらなかったとすると、119円で預け入れて、117円で満期を迎えることになる。

仮に1万ドル分を預けたとすると、払い込み金額は119万円。そして、1ヵ月後の満期時には1万ドルに金利0.83%から税金を差し引いた約66ドルの利息がつくことになる。これを117円で円に戻すと、117万7722円。つまり、1万2278円の元本割れである。

為替レートがまったく動かなかったときに確実に元本割れするような商品を、よくもまあデカデカと10%とか12%などと恥ずかしげもなく表示しているものだ。まったくいい加減にしてほしい。

ある金融機関では、広告に小さな文字で(本当に小さいので、高齢者には見えないのではないだろうか)、為替レートが変動しない場合コスト負担で元本割れする可能性があることを注意書きとして書いてあった。

金融商品の広告だけに限らないが、大事なことほど小さな字で書いてある。広告を見るときには、まずは小さな字から読んでいく。そんなスタンスが大切だろう。

日頃そう心がけて広告を見ていたが、この間、電車の中吊り広告にある金融機関の広告が載っていた。魅力的なことが大きな字で書いてある。これは小さな字をきちんと読まなければと思ったが、中吊り広告の下のほうに書いてある小さな字は、視力1.5をもってしても、とても解読できるものではなかった。読めないほどの小さな字で書かれた注意書きは、はたして注意書きというのだろうか。

(2003年6月23日)


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