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![]() その2 個人向け国債、買う金額で利息が違う? 2003年2月3日から、購入者を個人に限定した国債の募集が始まった。 従来からある通常の国債も個人で買うことができるが、年間7億円程度の広告費を使ってもなかなか個人の購入者は増えず、国債の残高に占める個人の保有率は2〜3%程度と諸外国に比べて低かった。 その一方で、日本の財政事情は、今後も毎年100兆円を超える規模での国債発行を続けなければならない。そこで、将来のことを踏まえ、個人にも国債を買う習慣をつけておいてもらおうと「個人向け国債」の導入を考えたに違いない。 さて、この個人向け国債、商品性としてはまずまずといったところ。 額面1万円単位、期間10年、変動金利。途中での換金は、国が元本で買い取るというもの(詳しくは、こちら)。 今後、世の中の金利が上昇しても、ある程度は対応できる点や、金融機関の破綻などの影響も受けない点などを考えると、安全確実なペイオフ対策としては有効かもしれない。 しかし、注意も必要である。途中換金の際には、直近の2回分の利息(要は1年分の利息)を返さなければならない。それも、税引き前の利息を。たとえば、2回で手取り8000円の利息をもらっていたとしたら、税引き前の1万円を返さなければならないのだ。 まさに、税金が引かれた利息に、さらに税金を上乗せして返す感じ。税金の二重払いのようなもの。 財務省にこの点を問い合わせたところ、「いいえ、これは手数料のようなものなので、税金ではないです」だそうだ。うーん、納得はできん。 さらに、直近の2回分の利息相当額を支払うというのも、将来換金を考えるときに迷う人が多く出るだろう。 というのも、たとえば金利が上昇してきてそろそろピークだから換金しようと思ったときに、せっかく金利上昇によって多めにもらえた直近の2回分の利息を税金分を上乗せして返さなければならないからだ。きっと、もったいないからもうしばらく持っていようと考える人が多くなるのではないだろうか。 そこまで考慮したうえでこの商品性を決めたとも考えられなくもない。さすがは財務省(おもいっきり皮肉だけど)。 まあ、ペイオフ対策として有効なのは明らかなので、購入自体は問題ない。ただし、購入金額によって利息の手取額が変わるケースがある点はあまり指摘されていない。 利息の計算は、通常、円未満切り捨てになる。そして、利息に対する税金は、所得税15%と住民税5%が別々に計算されて、それぞれ円未満を切り捨てして差し引く。このことによって、購入金額が少ない場合、適用金利が低い場合に、手取額に違いが出てくるのだ(以下参照)。
つまり、第1回の募集のときは1万円単位、第2回の募集のときは10万円単位で購入するのが利息の手取り額としては有利だったのである。募集が終わってから書いても遅いが…。 なお、多くの銀行では国債を買うと年間1260円の手数料がかかるようだ。ということは、第1回の個人向け国債だと175万円超、第2回では315万円超でないと、手数料を上回る利息がもらえない計算である。 個人向けに発行するわりには、個人にとって注意点がたくさんある商品。それが個人向け国債。イギリスなどように、宝くじつきの国債を出したほうがもっと売れるんじゃないかな(宝くじに対する批判もあるだろうけど)。 (2003年4月27日)
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