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その4 家計簿をつけずに家計の実態を把握する方法 Part2 ●年間ベースの総支出額を把握 さて、年間ベースの手取りの収入がわかったら、次は支出です。1年間でいったいどれだけのお金を遣ったでしょうか。 家計簿をつけない場合は、いついくら遣ったのかをすべて思い出す必要がありますが、まず無理です。というのも、どんな家計にも多かれ少なかれ使途不明金があるからです。 よくお酒を飲みに行く人、外食が多い人は、思い出してみてください。いつ、どこで、いくら遣ったか。おそらく、思い出せないことが多いのではないでしょうか。 そういうときに遣ったお金は、日が経ってしまうと、いつ遣ったのかわからない家計の使途不明金となってしまうのです。 使途不明金まではまず思い出せません。支出を年間ベースで把握する際は、思い出せるものだけで上手に把握することが大切になります。 まず最初に思い出すべきものは、年間の貯蓄額です。1年間でいくら貯金をしたのか。これは、毎月の積み立てとか、ボーナスからの貯金などを合計したものです。年間の貯蓄額なら、通帳を確認するなどである程度正確に把握できるのではないでしょうか。 年間貯蓄額を確認したら、Part1で求めた可処分所得から引き算してみてください。出てきた金額は何かというと、実はそれが1年間で遣ってしまった金額、年間総支出額となるのです。収入のなかから貯金をしているわけですから、貯金以外の金額はどうなったのかというと、誰がなんと言おうが遣ってしまっているわけです。 ●支出の項目分けで家計の実態把握 年間総支出額が把握できても、それだけでは家計の実態まではわかってこないので、次に支出を項目分けして思い出せるもの書き出します。 支出の項目としては、以下のように6つくらいに分けて把握するとよいでしょう。 @基本生活費…食費や公共料金、こづかいなど、最低限の生活費としてかかっているお金のうち把握できているもの。 A住居費…家賃や住宅ローンの返済額、固定資産税など、住宅にかかるお金。 B教育費…学校教育費、学校外教育費(塾や家庭教師、お稽古ごと)など、子供に対してかかっているお金。 C保険料…生命保険料や損害保険料、共済掛金など。 Dその他の支出…交際費、レジャー関係費用、耐久消費財の購入費など。家計の使途不明金はここに含まれる。 E一時的な支出…マイカーや住宅の頭金、海外旅行の費用など、その年だけ特別にかかったお金。 これら6つの項目のうち、Dその他の支出だけは、なかなか正確には思い出せないでしょう。しかし、この数字は、計算によって求めることができます。 年間総支出額のうち、@〜C、そしてEの金額がわかれば、順番に引き算をすることによって、最後に残った金額がDの金額です。 計算の順序としては、まず、年間総支出額からE一時的な支出を差し引きます。ここで出てきた金額は、毎年その程度は遣っていると思われる経常的な支出です。 そして次に、A住居費、B教育費、C保険料を差し引くと、生活していくためにかかっている最低限の金額(生計支出)がわかります。 最後に、@基本生活費を差し引けば、家計の使途不明金が大部分を占めるDその他の支出の金額が求められるのです。 使途不明金というと、ムダ遣いしたお金だと思いがちですが、多かれ少なかれどんな家庭にも存在します。重要なのは、毎年どの程度の使途不明金があるのかを確認することです。そして使途不明金を含めて、家計の状態を年一回チェックしていけば、老後を迎えても引き続きかかりそうな生活費の金額や、遺族が必要とする生活資金、住宅購入後の住居費にあてられる金額などを、現在の家計から見積もることができるようになります。 これを機会に、年間ベースで家計の現状を把握してみましょう。年一回の作業だけで、家計簿を毎日つけていくのとほぼ同じ効果が得られます。毎年一回なら続けられるはずです。家計の健康診断だと思って、続けていきましょう。 Part1 に戻る (「ライフプランがあなたの資産を殖やす」(日本経済新聞社、共著)に掲載、一部修正)
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